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連載コラム_No.4GREEN JOB

グリーンジョブとグリーンリカバリー ー2020年アフターコロナー

国際労働機関(ILO)/国連環境計画(UNEP)/国際労働組合総連合(ITUC)/国際経営者団体連盟(IOE) が2012年に発表したレポートによると、グリーン経済への世界的な移行は、0.5~2%、1.5億件~6億件もの仕事が増えるという研究結果が出ており、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」との関連性についても、低炭素社会・持続可能な環境経済へのトランジションは、より多くのより良い雇用機会に繋がると期待されていました。(※1)

グリーンジョブの世界的な広がりは、SDGsへの世界各国の対応の加速を鑑みれば必然性がありますが、新型コロナウィルス蔓延も大きな転機となっています。

新型コロナウィルス蔓延の影響

新型コロナウィルスが世界中で広がり、蔓延対策として、世界各国でロックダウンが行われた際、大気汚染やGHG排出量削減に有効であったことが世界各国で報じられました。中国においては、11月下旬に武漢にて厳格なロックダウンが実施された際、1月から3月の間で、337市で大気汚染が低下した日数が84.5%増加、石炭使用量は40%、CO₂排出量は25%減少し、二酸化窒素やPM2.5などの粒子状物質の減少も見られました。これは武漢にある6件の発電プラント稼働が減少したことや、車での移動の減少、製造工場の稼働減少が要因となっています。

その他、欧米諸国などにおいても以下のような変化が見られました。

図 1 “COVID-19 and the World of Work: Ensuring the inclusion of persons with disabilities at all stages of the response” に基づき作成
※都市や州によりロックダウン期間に前後あり

この急速的な変化はあくまで一時的なものであり、感染状況や経済動向を加味してロックダウンを解除すれば、大気汚染は元の状態に戻ってしまうことが懸念されていました。実際に中国では、2.7%削減されていたCO₂排出量が、ロックダウン解除後の2020年下半期では過去最高の4%まで上昇しました。

図 2 出典:LAURI MYLLYVIRTA. “Analysis: China’s CO2 emissions surged 4% in second half of 2020”. Carbon Brief. 2021-3-1.(※2)

コロナの影響を受けた経済活動の停止や、企業が一時的、ないし完全に事業をストップすることで、世界約81%の労働者に影響を及ぼし、失業者も多く出ました。こうした状況を受け、世界各国では、経済活動再開に向けロックダウン解除などの対応が行われましたが、コロナ前の状態に戻らない対応が必要であると、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の教授であり、WHOの社会的決定要因委員会の責任者でもあるMichael Marmot氏は述べています。

このコロナ前に単に戻すのではない、新しい経済と社会の復興がグリーンリカバリーです。

グリーンリカバリーは、気候変動や生物多様性、環境汚染などの社会課題に対応した、経済回復を目指すものです。経済成長と環境配慮型の新しいビジネスに係る雇用創出を世界各国で促し、より良い未来の創造を推進しています。 (※3)

このグリーンリカバリーのため各国政府や国際機関では以下のような対応がみられました。

  •  アントニオ・グテーレス国連事務局長は、2020年4月22日アースデーのプレス発表にて、世界各国の首脳に対し、コロナからの回復に向け新しいビジネス・仕事『グリーンジョブやサステナブルな経済成長につながるもの』を提供しなければならないと明言。

  •  日本を含む30か国の首脳、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)、国際連合などの代表者が集まる第11回ペータースベルク気候会談において、アフターコロナのグリーンリカバリーについて、各国におけるグリーンリカバリーに向けた財政の策定、民間投資事業の推進、カーボンプライシングの導入等、正確な手順について議論。

  •  EUでは、グリーントランジションとDX化を主軸とした、リカバリーに向けたロードマップを2020年4月21日に発表。ロードマップには、雇用創出と経済成長、グローバルな回復に向けEUが先陣を切るためには、クリーンでデジタルな技術開発・能力開発、並びにサーキュラーエコノミーへの投資が重要であるとした。

上記以外にも、各国において、アフターコロナの回復にグリーンジョブ領域における雇用創出は重要な役割を果たすとされており、国としての対応、並びに民間企業としての対応それぞれにおけるグリーンな対応策が求められてました。

新型コロナウイルスによって、通常であれば有り得ない規模、期間で人間の経済活動が停滞し、改めて既存の社会における経済活動が環境に与える負荷の大きさが明らかとなりました。アフターコロナを生きる私たちは、グリーンリカバリーによる新しい社会を目指していかなければならず、グリーンジョブの重要性はさらに高まっていると言えるでしょう。

記事掲載日:2021年8月30日

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